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2023年11月20日、大手町プレイスカンファレンスセンターにて、日本郵政キャピタル事業者交流会を行いました。
大手町プレイスカンファレンスセンターのある場所は、かつて逓信総合博物館や東京国際郵便局が所在した歴史のある場所です。その歴史ある場所に日本郵政キャピタルが出資したスタートアップ企業、日本郵政グループの関係部署が一堂に会することができました。
冒頭の挨拶で、日本郵政キャピタル代表取締役社長の丸田 俊也が、その狙いを説明しました。
日本郵政キャピタル丸田:
「日本郵政グループの事業アセットの活用と、出資先であるスタートアップの企業様の成長を支援し、新たな技術やビジネスモデルが広く利用されることを通じて、日本の未来を共創することを目指しています。」
日本郵政キャピタルのホームページには「共創」という言葉が度々登場します。
今回の事業者交流会では、事業者41社・日本郵政グループの関係部署23部署、計64組織のメンバーが集まりました。
スタンフォード大学の故クランボルツ教授による「計画的偶発性理論」には、成功したビジネスパーソンの約8割は「予期せぬ出来事」によって、そのビジネスキャリアを形成し、成功につなげていったとの研究結果があります。
果たして、企業間のパートナーシップにおける「予期せぬ出来事」とは何でしょうか?
今回お集まりいただいた64の組織から、任意の2つの組織を選ぶ組み合わせ数4,032通り、3つの組織を選ぶ組み合わせ数は、41,664通りにもなります。
これだけの組み合わせがあれば、組織間の化学反応の一つとも言える「共創」への期待が高まらないわけがありません。丸田の挨拶が終わると、各テーブルで、早速、名刺交換がはじまっていました。
名刺交換から歓談、そしてパートナーシップの模索へと会場内が活性化していく中、会はスタートアップ企業のパネルディスカッションへと進みました。
今回の登壇者は株式会社ピーステックラボ 代表取締役社長、村本 理恵子 氏と株式会社モンスターラボ 常務執行役員 宇野 智之 氏です。両社とも日本郵政キャピタルの出資先であり、日本郵政キャピタルが橋渡しをした日本郵政グループ各社との取り組みで成果が出ている企業です。
登壇した両氏から自社の事業内容についての説明がなされたのち、日本郵政グループとの取り組みについてのエピソードが紹介されました。
村本氏からは自社の倉庫が手狭になり、移転せざるを得なかった際、日本郵便株式会社のロジスティクス事業部が、移転先の倉庫として日本郵便が運営する倉庫を用意してくれたことや、移転について想像を超えるスピードでサポートしてくれた事例が紹介されました。
宇野氏は出資のスタイルが短期ではない中長期目線であることや、日本郵政キャピタルの関係者が、モンスターラボの事業の内部を深く見て、事業パートナーや日本郵政グループ内での連携できる部署を紹介したことなど、積極的な姿勢が嬉しかったと語りました。
ピーステックラボ村本氏:
「今年の3月末から日本郵政グループの国立(くにたち:東京の地名)の倉庫を利用させていただいています。また、1万点ほどの商品を保管していただいていますが、保管だけでなく『検品』『保管』『商品のメンテナンス』『配送』『回収』といった我々の事業に必要なファンクションも同時に提供いただいています。」
「ベンチャー企業は、せっかち(言い換えるとスピード感を重視)ですから、倉庫移転を数週間単位で実施したいとリクエストしました。とはいえ、事業パートナーは大規模な組織である日本郵政グループですから、正直なところ、スムーズにいかない面もあるかと思っていました。その想像は見事に外れ、一か月程度で倉庫移転は実現できました。稼働開始まで含めての話です。出資だけではなく、事業を育てるところまで協力いただけるのは本当にありがたいことです。」
村本氏談
モンスターラボ宇野氏:
「日本郵政グループは事業を育てるところまで協力してくれるという話がありましたが、我々も短期投資ではなく中長期での関係性まで重視してくれているところが嬉しかったです。」
「日本郵政キャピタルのメンバーはじめ、日本郵政グループの方々は、とにかく我々の事業を深く知ろうと、アウトプットの見た目だけではなく、深いところまで見てくれています。これが出来るなら、これも出来そうだということで、事業パートナーや日本郵政グループの部署と繋いでいただいています。その後の展開をどう成功させるかは、モンスターラボの仕事ですから、結果を出して、さらに信頼関係を強固にしていきたいと思っています。」
宇野氏談
村本氏・宇野氏から紹介された事業内容や日本郵政グループとの取り組み・エピソードは、事業者交流会の参加者に対して、話題や思考、そしてビジネスの種を提供したようで、パネルディスカッションが終わると、テーマ毎に12個に分けられたテーブルにいた参加者の方々は、他のテーブルに出向き、積極的に交流を深めていったのが印象的でした。
今回の企画の中心メンバーである日本郵政キャピタルのメンバーは、ネットワーキングの手伝いをすべく、日本郵政キャピタルのロゴの入ったTシャツを着て会場内を奔走し、事業者交流会の出席者の方々が、「あの会社の人に会いたい」と言えば、人と人、組織と組織をつないでいきました。
会は終了時間ギリギリまで交流は続き、日本郵政キャピタル株式会社専務取締役の山田 伸治からの御礼の挨拶とともに、盛会となった事業者懇親会は閉会しました。
スティーブ・ジョブズ氏が、パロアルトの研究所で見かけたパソコンの原型を基にMac(マッキントッシュ)の着想を得た話や、ソニーの盛田昭雄氏がシカゴを訪れた際、高くそびえ立つ、(保険会社の)プルデンシャルのビルを見て保険業に進出した話など、セレンディピティから大きなビジネスがはじまったという話を聞くことがあります。今回の日本郵政キャピタル事業者交流会が、そのようなきっかけの一つになっていることを願っています。
文/株式会社キャリアインデックス執行役員 広報・IR担当 曽根 康司
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https://www.jp-capital.jp/synergy/04_monster/
<参考URL>
PHP研究所:クランボルツの「計画的偶発性理論」とキャリア開発
https://hrd.php.co.jp/hr-strategy/hrm/post-265.php
Stanford University:The Xerox PARC Visit
https://web.stanford.edu/dept/SUL/sites/mac/parc.html
ソニーグループホームページ:第21章 多業種へのチャレンジ 第5話 「ハード、ソフト、そして金融機関だ」
https://www.sony.com/ja/SonyInfo/CorporateInfo/History/SonyHistory/2-21.html
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